第223章

島宮奈々未は胸の奥がきゅっと締めつけられた。振り返る勇気はない。息を整え、何事もないふりをしてスマホを取り出すと、通話している体で前へ歩き出した。

「丹羽光世、迎えの人は? もうすぐ? うん、見えたかも……」

わざと周囲に聞こえるくらい大きな声を出す。

足を速めたそのとき、ちょうど前方から一台の車が滑り込んできた。信じられないことに、運転席にいたのは夏目冬馬だった。

さっきの電話は偽装だった。声を張り上げたのも、相手を牽制するため。なのに、丹羽光世が本当に夏目冬馬を寄こしてくるなんて。

「島宮嬢、早く乗って」

夏目冬馬がロックを外す。

島宮奈々未は乗り込み、問いかけた。

「丹...

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